2-1.いくらまで借りられる?
残念ながら、住宅ローンは希望金額が全額借りられるとは限りません。借入可能額については、①年収②返済負担率③完済年齢などの基準をもとに、金融機関が審査の上、決定します。それでは見ていきましょう。
- 年収
審査を通す上で、現在の勤務先や年収を示す必要があります。融資を行う金融機関は、これらの情報をもとに、その人の「返済能力」の有無を判断しています。住宅金融支援機構(※1)の調査によると、購入者の世帯年収に対して、所要資金は約7倍が平均となっています。
- 返済負担率
返済負担率とは年収に占める住宅ローンの返済額の割合のことです。
「返済負担率=年間の返済額の合計÷額面年収×100」で算出されます。
住宅ローンの借り入れについては、当然金利がかかるため、返済期間を短くしたいと考える方も多いです。ただ、月々の返済額が大きくなると、日々の生活費がひっ迫にも繋がるため、無理のない範囲で返済計画を立てることが大切になってきます。
金融機関にもよりますが、例えばフラット35では年収400万未満の場合は返済負担率30%以下、年収400万円以上の場合は返済負担率35%以下と定められています(※2)。日々の生活費等も鑑みて、一般的には25%以内に抑えておくのが安心だと言われています。
- 完済年齢
完済年齢とは、融資を受けた住宅ローンを何歳までに返すかという基準です。国土交通省住宅市場動向調査(※3)によると、ローン返済期間の全国平均は、30年以上となっております。例えば、40歳で借入を開始した場合、平均通りで行くと最終返済は70歳となり、70歳で今と同じ水準の返済をしていく必要があるのです。70歳ですと定年退職している可能性もあり、その期間も返済はしなければならないため、それまでに蓄えておく必要があります。できる限り、定年退職前には大半の返済を終えられるように計画を立てることが重要となってきます。
2-2.頭金は必要?
住宅の購入にあたって住宅ローンを組む際は、一般的には費用の一部を頭金として最初に支払います。上記借入可能額に対して、希望物件の購入価格が高い場合には、ある程度の頭金が必要になってきます。また、月々の負担を下げたい、返済期間を短くしたいと思ったときに頭金を入れることができれば、当然借入額は少なくなります。
頭金の目安ですが、一般的には購入価格の20%といわれています。しかし住宅購入の際には税金や手数料等の諸費用がかかってきます。諸費用は一般的に5%といわれているため、25%準備しておくと安心かもしれません。
・頭金を用意するメリット
住宅ローンとして借り入れる金額が減るため、返済に対する負担を軽減することができます
・頭金を用意するデメリット
頭金を用意するには時間がかかります。頭金の用意に時間がかかると、住宅ローンの開始時期が後ろ倒しになるため、完済時期も同様に後ろ倒しになってしまいます。
2-3.金利の違いは?
住宅ローンを比較する際に、基本になるのが金利になります。金利とは、借りている金額に対して払う利息のことです。「金利タイプ」を選ぶ際には、自分のライフプランにあった金利タイプを選ぶことが必要です。将来収入が減る、教育費がかかるなど、家計収支の変化がある場合や、金利上昇によるローン返済額の増加に対応できるか等により、住宅ローンの「金利タイプ」の選び方は変わります。
金利については大きくわけて①固定金利②変動金利があります。固定金利とは返済期間中の適用金利が一定になる金利タイプです。変動金利とは返済期間中に適用金利が変動する金利タイプです。適用金利が見直されるタイミングは金融機関によって異なりますが、半年に一度見直されるのが一般的です。
それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
- 固定金利
・全期間固定金利型
メリット:借入時に金利が固定されるため、将来金利変動の影響を受けず、返済額が確定している
デメリット:借り入れ後に金利が低下しても返済額が変わらない
- 変動金利
・固定金利期間選択型
「当初3年間○%」など、一定期間、固定金利が適用され、期間が終わると、変動金利が適用されるタイプ
メリット:固定金利期間中は返済額が確定しており、固定期間終了後に金利が低下すると返済額が減少
デメリット:固定期間終了後に金利が上昇すると、返済額が増加し、固定期間終了後の返済額が確定しないため、返済計画が立てにくい
・変動金利型
金融情勢の変化に伴い返済の途中でも定期的に金利が変動するタイプ
メリット:借入後に金利が低下すると返済額が減少
デメリット:借入後に金利が上昇すると返済額が増加し、将来の返済額が確定しないため返済計画が立てにくい